精霊

人間世界とは異なる次元「上位次元界(メタプレーン)」からの訪問者です。
シャーマンが呼び出せば動物霊、キリスト教神秘術では天使のような(教徒たちの前では言葉を選びましょう)姿……と、召喚者の魔法様式に応じた形態をとります。
精霊の身体はマナで形作られているため、産業廃棄物や放射能などで汚染されたマナにより「汚染精霊」と呼ばれる醜悪な変容を遂げることがあります。

自由精霊 Free Spirits

召喚者との契約が失効した後もなんらかの理由(大抵は本人の気まぐれによって)で人間界に残り続ける精霊です。
人間界での滞在が長く、強い力を持つ精霊ほど自由精霊となる傾向があります。以前の契約者の魔法様式に関わらず望むままの姿になれますが、アストラル体には戻れません。
本人の自由意志、あるいは真名を組み込んだ召喚式を利用することで新たに契約を結ぶことも可能です。

著名な自由精霊について

人物名鑑」を参照。

影の精霊 Shadow Spirits

悪夢や淫魔、怨霊など、様々な文化圏で「悪霊」として扱われてきた精霊たちです。人間の特定の感情を餌としており、各々が名前通りの策を用いて好みの感情を引き出します。
ただし、「食事」の際には感情の発露する場に居合わせなくてはなりません。

影の精霊の一例

  • 淫夢(サキュバス):情欲
  • 悪夢(ナイトメア):恐怖
  • 詩神(ミューズ):創造性、表現力
  • 怨霊(レイス):瞬間的な感情の爆発

野生精霊 Wild Spirits

厳密に言えば自由精霊ではなく、なんらかの理由で故郷の次元界から人間界に迷い込んだ者達です。
自由精霊ほど強い力を持たず、戻るあてもなく彷徨っています。

インプ Imp

小さな人影、囁く蛇、霧の中で揺らめく瞳、黒猫や黒犬などの姿を取る、寄生虫のような精霊です。
人間の魂や業、魔力に惹かれ、魔法使いを好みます。彼らは最初、魔法使いの持つ収束具や錬金術調製品などに取り憑き、その作用を強化します。
魔法使いがインプによって強化された魔術道具を使い続けるうち、やがて彼らの精神はじわじわとインプによって支配されていき、やがてインプの言いなりにされてしまいます。魔法使いの魂を完全に支配したインプはやがて子供を産み、増殖します。
インプに取り憑かれた魔法使いは次の宿主をインプに提供するために他の魔法使いを言葉巧みに勧誘し、その魔法使いが持つ魔術具に増えたインプを取り憑かせようとします。

カッパ Kappa

主に日本に生息する、川と水を司る精霊です。蛙のような肌、亀の甲羅、頭の皿、くちばしなどを備えた姿や、カワウソのような姿を取ります。
気まぐれなトラブルメイカーであり、人間に相撲を挑んだりいたずらを行ったりすることはあるものの、基本的にはそれほど敵対的ではありません。
ただし、時として気に触った人間を溺死させることがあります。

キングフロスト King Frost

霜と冷気を司る精霊であり、雪だるま、帽子をかぶった子供、渦巻く吹雪、雪の魔女や雪女などの姿を取ります。
歩くだけで辺りに雪が降り始め、息を吹きかければ相手が凍りつき、一言命じれば猛吹雪が起こります。
キングフロストは孤独を好むものの、遭難している人間に様々な悪意あるいたずらを仕掛けることでも知られています。

クローン Crone

ハッグ、ババヤガ、モルガン・ル・フェイ、オニババなどと呼ばれる精霊です。恐ろしく背が高く、痩せこけたざんばら髪の老婆の姿や、筋骨隆々の鬼女といった姿を取ります。
残酷な悪意の塊のような存在であり、荒野をさまよい歩いて人間を食い殺し、様々な魔術を操ります。
クローンは人間と取引を行い、愚かな人間に様々な魔法の道具を与えることがあります。が、そういった道具は必ず持ち主に破滅をもたらしたり、あるいは多くの人間を苦しませる結果を生むように罠が仕掛けられています。

ゴースト Ghost

死んだ人間の姿を取る精霊です。生前の執着や強い感情にしたがって行動するため、その性質は多様であり、怨念や怒り、憎しみや悪意が強いものは大変危険です。
学術的には「すでに死んだ人間の行動を模倣する生物」と考えられており、生前の人物が持っていた権利などは認められず、裁判などでも証言は証拠となりません。
実体化した際に強烈なEMPを放出する特徴があり、出現の際に電気システムに異常が起きたり、コンピュータにノイズが走ることがあります。

ファントム Phantom

我々の言葉で言うところの「地縛霊」を思わせる存在です。
この精霊は異界から現れた後、出現場所に自分の"巣"を作ります。ファントムは"巣"に合わせて性質や姿を変え、その場のアストラルに残った記憶――かつて住んでいた者や、場所にまつわる古い伝説など――にそぐう形に変化します。例えば古い酒場であれば、ファントムはバーテンダーに姿を変え、来客に酒を差し出すかもしれません。あなたの家に取り憑いたなら、死んだ母親の姿を取り、毎日勉強したかどうかを聞いてくるかもしれません。
一度巣に居着いたファントムは、簡単なことで追い出すことができない存在になります。放逐や攻撃に対しては抵抗し、ポルターガイスト現象を引き起こすでしょう。
基本的には無害な存在ですが、殺人や暴力のあった場所を住処にしたファントムは、その場に残った憎悪や怨念に応じて姿を変えるため非常に危険な存在になります。このようなファントムは"死神"と呼ばれ、建物にいる生きたものを次々と殺していきます。

レプラコーン Leprechaun

金銭に何よりも強く執着する精霊であり、人間――特にドワーフやノーム――の姿を好んで取ります。
カネ、株券、黄金、宝石、魔法の道具などを集め、溜め込むことを最大の欲求とし、人間社会の経済に溶け込んでいます。
一部の強力な自由精霊はレプラコーンをエージェントとし、様々な取引を人間たちと行わせています。

ワイルドハント Wild Hunt

ヨーロッパに主に出現する、恐ろしい精霊の狩人集団です。
馬――高いフォースを持つ獣の精霊――に乗り古風な狩りの衣装を着た「狩人」十数人と、多数の猟犬――これも獣の精霊――で構成され、凶兆として恐れられます。
その行く先を遮るあらゆる者は狩りの獲物となります。

導師精霊 Mentor Spirits

覚醒者の周囲に現れ、様々な啓示を与える存在です。「選ばれた」覚醒者以外には認識できないため、それが本当に精霊なのか、何が目的なのかは分かっていません。
その外見については覚醒者自身のパーソナリティに強く依存するようで、所属する部族のトーテムや伝説上の人物などと良く同一視されます。
一例として、シアトルに住むブロウリングアデプトの多くが「ブルース・リーの指導を受けている」と主張しています。
(シアトルにはブルース・リーの墓があります)

憑依精霊 Possession Spirits

通常の精霊は自らを形作るマナを物質化して受肉することができますが、憑依精霊はそうした能力を持たず、物理的に活動するための「依代」を必要とします。
ブードゥーなどの特殊な召喚方式の精霊を除けば、ほぼ例外なく人類に敵対的な、言わば侵略的外来種のような存在です。

昆虫精霊 Insect Spirits

生きた人間を依代とする精霊で、高度な社会性を備えています。身体を乗っ取る過程で不可逆の変異を引き起こし、犠牲者の大半は「虫人間」へと変貌してしまいます。
UCASのシカゴでは「世界友愛団」という団体を隠れ蓑に大繁殖し、アレスの特殊部隊が都市ごと戦術核で焼き払う事態に陥りました。
驚異が知れ渡った現在も大都市の地下などに相当数のコロニーが存在しています。

繁殖のプロセス

昆虫精霊は人間界側からのアプローチがない限り、こちらの世界に渡ってくることはできません。
そのため、女王/母体と呼ばれる個体が導師精霊となって人間の魔術師をたぶらかし、召喚の儀式を行わせます。
優れた、あるいは十分に経験を積んだ魔術師は女王/母体の召喚を試みます。そして受肉を果たした彼女らは自分たちの次元界との「門」を繋ぎ、同族を次々と呼び寄せます。
利用価値の無くなった魔術師の末路は言うまでもないでしょう。

シェディム Shedim

2061年、ハレー彗星の年に初めて確認された種族です。彼らは完全に自らの意志で人間世界に進出してきており、召喚や束縛の方法は見つかっていません。
死体を依代とし、人類に対して非常に攻撃的。彼らの出現後は多くの土葬宗教が埋葬方法の変更を余儀なくされました。
「マスターシェディム」と呼ばれる上位種も確認されており、それらは依代となった死体の記憶と知識を保持し、「門」を開く能力を持つことで知られています。
武装組織「新イスラム聖戦運動」の指導者が憑依され引き起こした紛争は、第六世界の人々の記憶に恐怖とともに残っています。

出典

Shadowrun Wiki
Shadowhelix(ドイツ版wiki)
ストリートマジック(シャドウラン4版サプリメント)

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