ギア

"ギア"とは(所謂TVゲーム用語での)アイテムのことを指します。
スマートフォンから偽造身分証、電子ペーパーから装甲服、果てはTNT爆薬まで。
近未来を駆ける犯罪者が、あるいはSF的社会を生きる一市民が必要とする道具が沢山揃っています。

ギアを選ぶ際のポイント

三種の神器

コムリンク、偽造SIN、アーマージャケットの三つをまず入手しましょう。
コムリンクは高度に発達したスマホであり、偽造SINはコムリンクと紐付けられる電子身分証、アーマージャケットはPCが街を彷徨くにあたって許容される最高の防具です。
シャドウランは現実の延長線上にある近未来を"犯罪者"としてプレイするゲームになります。
スマホは言うまでもなく、自分が怪しむところのない市民であることを証明するためのデータは重要ですし、良い防具は警備員やチンピラの銃弾からPCを守ってくれます。

必要なときに、必要なものを

シャドウランはデータリッチで"具体的な"ゲームです。
つまりPCが何事かを行いたいときには、それを実行するためのガジェットが存在し、それ無くしてはそもそも行為自体を実践できない場合もあるということです。
自分がどんな計画を立てていて、どんな行為が含まれ、その行為に必要なギアは何なのか、よくGMに確認しておきましょう。

規制品と違法品

シャドウランには所持が規制、または違法とされているアイテムがあります。武器はその代表例です。
規制品(R)
所有には免許(PCの場合は偽造免許)が必要です。注意しなくてはいけないのが、免許は万能の免罪符とはならない点です。
ドレスコードのある店にライフルを持ち込もうとすれば、フロントに預けるよう指示されるかもしれません。町中であれば警官が使用目的を問い質してくることもあるでしょう。
状況にそぐわない、過剰な危険性が認められた場合は免許だけで乗り切るのは難しくなります。
違法品(F)
PCの立場では合法的な所持が不可能なアイテムです。当局の対応も単純で、見つけ次第逮捕、場合によっては射殺もありえます。
これらの状況に対応できるのがフェイスの交渉力、袖の下のクレッドスティック、そして武器の隠しやすさ(隠蔽修正)です。

一覧

【衣服と防具】 重要性:高い

シャドウランの戦闘は往々にして致死的です。防具を一切着用していないPCは容易に打ち倒されます。
また多様な社会と関わりを持つうえでも衣服は重要です。吟味しましょう。
  • アーマージャケット
手頃さと性能の両面を鑑みても、アーマージャケットはもっともすぐれた防具のひとつです。
一着は持っておくべきでしょう。
  • アクショニア・ビジネス・クロース
晩餐会やレストラン、企業エグゼクティブとの会合において、武骨な装甲服を身に纏う人間はいません。
この背広一式はそれなりの防御力を持ちながら、ドレスコードが必要とされる場面においても完全に適合します。
  • ヘルメット
簡単に顔を隠せ、かつ防御を向上できる装備です。加えて、センサーや視覚強化・聴覚強化装備を追加できます。

【コムリンク】 重要性:高い

シャドウラン世界のスマートフォンには様々なスタイルがあります。
2075年は完全なデジタル社会です。必ずひとつは見繕っておきましょう。
  • トランシス・アヴァロン
PCが犯罪者であるということは、あらゆる厄介ごとに巻き込まれることを意味します。
そうしたトラブルのなかでは、純粋な暴力と同列に並べられるぐらいハッキングの脅威もありふれています。
この初期作成で購入できる最高ランクのコムリンクは、そうした脅威をある程度防止してくれるでしょう。
→参照:PAN

【サイバーデッキ】 重要性:低い/(デッカーのみ)高い

一般人には縁が無い代物ですが、ハッカー(デッカー)にとっては必需品となります。
なにせサイバーデッキこそがハッキングを可能にしてくれる唯一の道具なのですから。
シャドウラン世界においてハッカーをデッカーと称するのも、つまりデッキがないハッカーは存在しえないからです。
サイバーデッキはどれも大変高額なため買い替えに時間がかかります。初期デッキはある程度慎重に選びましょう。
  • レンラク・ツルギ
価格もハイグレードですが、性能もハイグレードです。
実用上はこの程度のスペックがあると充分な安心感を持てます。
  • ヘルメス・チャリオット
レンラク・ツルギとは比べるべくもありませんが、それなりに高性能で価格も半額程度です。
コンバットデッカーはこのデッキを基準に予算に応じてグレードを調整しましょう。

【周辺機器】 重要性:普通

コムリンクやサイバーデッキに接続できる周辺機器類です。
基本的には便利グッズの域を出ませんが、その便利さに助けられる状況は決して少なくありません。
  • サブボーカルマイク
コソコソ話をしたいときにはこの無線式咽喉マイクを使いましょう。
誰かが盗み聞きをする判定に負の修正をかけることができます。
ただしこのギアを用いればいつでもどこでも秘匿会話ができるはずだと考えるのは早計です。
確実にリスクを回避したいのであれば、コムリンクなどのメッセージ機能を使いましょう。
  • トロード
神経と機械を接続することにより、機器(スマートガンシステムを内蔵した銃など)の潜在能力を最大限発揮する技術は今やポピュラーです。
そのためにはDNI(神経直結インターフェイス)と呼ばれる中継器を身体のどこかに持たなくてはなりません。
頭蓋に穴を開ける"グロテスク"な手術に抵抗がある場合は、このヘアバンド、帽子、ネット状と多様な形をとれる機器を頭に装着し、その代用とすることができます。

【RFIDタグ】 重要性:高い

2075年のあらゆる商品に埋め込まれているこの電子タグは、位置情報や連絡情報、状態情報や登録票まで、あらゆる情報を発信できます。
シャドウランナーとして絶対に覚えておかなくてはならない、この小さく深刻な厄介者は勿論、PCたちにとっても有効な武器となりえます。
  • ステルスタグ/セキュリティタグ
どちらも性質は違いますが、PCが立場上使いやすいのはステルスタグのほうでしょう。
隠匿性に秀でるこのタグはすぐれたGPS発信器であり、PCがだれかを追跡したいとき、これを予備も含めて貼り付けておくのは定石です。
  • センサータグ
通常タグは情報を発信するだけのものですが、加えてこのセンサータグは情報を収集することができます。
センサータグを活用する例として、もっとも分かりやすいのは盗聴器や盗撮器でしょう。
このタグに【カメラ】や【全指向性マイク】といったセンサー機能を追加しておくだけで、超小型の監視装置が出来上がります。

【通信および通信妨害】 重要性:高い

2075年の地球は、マトリックスと呼ばれる超巨大な無線通信網によって地球のほとんどが覆われた世界です。
そこでは目につく物の八割は無線により送受信を行っており、それはPCの持ち物も例外ではありません。
通信を強化し、通信を妨害し、通信を調査し、そして通信を支配してください。その恩恵は計り知れないでしょう。
  • ジャマー
沢山の物が無線通信をしていて、なかには無線通信が無くては成り立たないギアもあります。それを妨害したらどうなるか。
答えは、その機能が停止する、です。
コムリンクは電話もメッセージも使用不可能になり、隔離されたコンピュータに。
データを無線で送信している監視カメラは、警備室のモニターに映像を届けることができず。
無線機能がついた手榴弾だって、放り投げたあと遠隔起爆ができません。
ジャマーは無線通信を活用する機器にとって、疑いなく致命的です。持っておいて損はありません。
  • タグ・イレーサー
RFIDタグぐらい"監視装置"として厄介なものはありません。
ミニマムなら顕微鏡サイズで、大きくても名札並みです。いちいち見つけ出して踵で破壊するには面倒が掛かりすぎます。
タグイレーサーは5ミリメートル以内のこうした電子タグを――名前通りに――あっという間に破壊してくれます。
"ブツ(人でも物でも)"を奪う仕事をするなら、バグ・スキャナーと併せてランナーの必需品です。
  • バグ・スキャナー
PCは遅かれ早かれ追跡装置や盗聴器、盗撮器などのスパイグッズをどう見つけて処分するか、頭を悩ませる羽目になります。
そのようなときは右手にタグ・イレーサーを持って、左手にバグ・スキャナーを持ちましょう。
バグ・スキャナーはマトリックス上に信号を残す20m以内の機器を判定如何により全て発見し、その物理的位置を表示してくれます。
  • データ・タップ
警備厳重な施設の場合、デッカーが有線で接続できる整備用ポートを目立つ位置に作ることはさほど多くありません。
ゆえにデッカーは操作パネルや端末などを取り外し、回路を露出させ、中で蠢くケーブルにタップを挟んでようやく直接接続と相成ります。
PCがデッカーなら一つは所持しておくべきでしょう。

【ソフトウェア】  重要性:低い/(一部にのみ)高い

コムリンクやサイバーデッキ内で動かすことのできるソフトウェアです。
その殆どがデータ的には"リミット"をわずかに向上させるものですが、一部の役割にとっては必要不可欠なものも存在します。
  • エージェント
仮にPCがデッカーを務めているとして、猫の手も欲しい場合には有用な代物でしょう。
プログラムスロットを1つ占有する代わりに、チームワークテストでの活用や、不意のマトリックス戦闘などで共同戦線を組むことができる助手を入手できます。
  • オートソフト
あなたがリガ―であるなら、ドローンを右往左往させないためにも必ず手に入れてください。
オートソフトはドローンたちにとっての外付け技能プログラムであり、銃を撃つにも、あたりを捜索するのにも殆ど必携です。

【スキルソフト】   重要性:低い

サイバーウェアであるスキルワイヤと組み合わせることで一定レベルの技能を突然扱えるようになるギアです。
メガコーポの末端従業員などにはよく利用されており、一瞬で熟練工なみの手捌きを手中に収めることができますが、
クビにされれば身体からワイヤとソフトをはぎ取られて放り出され、そこに残るはなんら経験を積めなかった失職者といったケースはありふれています。
沢山の技能をそれなりに扱いたいといったコンセプトでもないかぎり、PCにとっての費用対効果はさほどよくありません。

【IDとクレッドスティック】  重要性:高い

偽造SINと偽造免許証、そして金銭を秘密裏に受け渡すためのクレッドスティック。
ここにあるのは全てのシャドウランナーが理解しておくべきツールであり、(クレッドスティックを除いて)必要条件とすらいえるものになります。
→参照:SIN
  • 偽造SIN
偽造SINの重要性を知るためには、まずSIN(システム登録番号)を持たないことが指し示す意味を分かっておいたほうがいいでしょう。
それはその社会において"公民権を与えるべき存在"とは認められないということです。
2075年ではコンビニの買い物ですら身分証明を要求され、公共の場所ではコムリンクと紐付けられたSINをブロードキャスト(公衆送信)しておかなくてはなりません。
SINレスであることが多いPCは偽造SINが無ければ表社会から排除され、周縁のスラム街などでしか活動できず、そもそもシナリオで十全に活動することすら制限を課せられるのです。
最低でもR2、できればR3か4の偽造SINを持っておきましょう。
    • SINについての補足
   PCがネガティブな資質として「国家SIN」「限定企業SIN」「企業SIN」などを持ち合わせている際は、偽造SINがなくても理屈の上では問題がないことになります。
   しかし今一度考え直してみてください。PCはシャドウランナー、つまり「犯罪者」です。
   SINはあらゆる場所で求められ、そのデータが蓄積されます。PCがどこでなにを買ったか、どの場所にいたか、どんなサービスを利用したか。
   それらのデータは断片化されてこそいますが――各種組織や機関にしっかりと収集されているのです。
   ネガティブな資質で入手したSINは、まさにPCの本性ともいえるものです。そしてこれはPC作成の際にリソースの代わりに背負ったペナルティですから、PLの一存で捨て去ることができません。
   データの痕跡を辿られて事件の容疑者が判明したとき、そこで分かるのがPCの本名よりも、シアトルの郊外に住んでいるジョン某のほうが都合がいいでしょう…。
  • 偽造免許証
SINにより合法的な市民と認められても、法律によって限られた人間にしか許されていない道具や、あるいは行為、技能といったものがあります。
偽造免許証は偽装SINと同じく、こういった問題を解決するためのものです。
SINへリンクして表示されるこうした免許証は様々な種類が存在し、特に初心者にとっては悩みの種になることが多いでしょう。
日本公式の裁定としては1つの規制品(R)につき1つの免許証が必要とのことですが、実際はGMごとに裁定が異なるケースが少なくありません。
事前にGMに問い合わせておきましょう。
また免許証はSINとリンクするのを忘れないようにしてください。SINがR3なのに、免許証だけR1というのはできません。どちらもRを合わせる必要があります。

【工具】  重要性:低い/(一部にのみ)高い

ギアやドローンの製作・修理を意図しているなら最低限キット(工具箱)ぐらいは持ち合わせておきましょう。
特にリガーはドローンの修理について否が応でも関わらざるを得なくなります。

【光学機器と映像機器】  重要性:高い

もしあなたのPCがサイバーアイを導入しておらず、呪文を扱う魔法使いでないのなら、コンタクトレンズか眼鏡、ゴーグルのいずれかを買っておくのが賢明です。
こうした機器の内部には後述する映像リンク(仲間と視覚を共有することができます)、熱映像補正や低光量補正などを搭載でき、
その結果、仲間と"目"で状況を共有できるだけでなく、薄暗がりや真っ暗闇、あるいは閃光手榴弾の爆発のなかでも余裕をもって戦い続けることができます。
  • コンタクトレンズ
基本的にはこうした視覚機器に容量と外見の差以外に違いはありませんが、コンタクトレンズは目立ちづらいという利点があります。
コンタクトレンズに最低限かつ最も必要な機能を集約し(映像リンクやスマートリンクなど)、その上にかけた眼鏡やゴーグルなどに他に重要なものを搭載し、切り替えて使うのは悪くない手です。
またGMの裁定次第となりますが、プレイグループによっては切り替え不要で同時に効果を累積できるとするケースもあります。

【光学機器】   重要性:低い/(一部にのみ)高い

ここにあるものは大まかに分けて以下ふたつの用途で使用できます。
物理的な覗き見、そして魔法使いが身を隠したままで呪文を放つための覗き見です。
前者はマイクロドローンのカンムシなどで代用できますが、後者はここでしか手に入れられない機能です。
  • メイジサイトゴーグル
曲がり角や死角の向こう側を一方的に覗くという機能自体はベリスコープと同じになりますが、異なるのはその柔軟性です。
こちらは最大で30mまでケーブルが伸びるうえ、ぐにゃぐにゃと曲がり、それゆえどのようなルートにでもケーブルを通すことができるのです。
値段が高いうえに規制品というハードルの高さはあります。
ですがもしあなたが魔法使いとして銃弾の嵐に逃げ惑いたくないなら(メイジは最初に殺せ、は常識です)、懐に忍ばせておくべきかもしれません。

【視覚強化機能】   重要性:高い

視覚修正表を一度でも見たことがあるならば、視覚強化機能はそれらのデバフをどうにして緩和してくれる重要なものであるはずで、そいつは大事なブツに決まっていると判断するでしょう。
勿論、視覚修正表への対抗策としての側面もたいへん重要ですが、ここではもう一つの側面、より直接的な恩恵をもたらしてくれる機能を紹介します。
※これらの視覚強化機能は容量値を持つ視覚機器や映像機器などに導入して活用可能となります。
  • 映像リンク
シャドウランの世界で生きるにあたり、コムリンクとSINは必須です。さらに映像リンクもこのなかに含まれるかもしれません。
仲間や通信相手とリアルタイムで視界を共有したい? 
所有しているデバイスの状況をすぐに目で確認したい?
企業用地の手前で表示される電子立入禁止警告――不法侵入者は排除します――を読み取りたい?
そういった欲望を全て叶えるには映像リンクがインストールされた視覚機器が必要になります。
  • スマートリンク
混沌の2070年代よりも数十年も昔から、このスマートリンク・テクノロジーはあらゆるガンマンに天恵を与えてきました。
このテクノロジーは銃を電子化・ネットワーク化することで、使用者の視界にデジタル照準を始めとしたあらゆる情報を表示してくれます(勿論、視覚側には映像リンクが必要です)
ゲーム的にはスマートリンクを視覚機器に、銃へスマートガンシステムを導入することで、銃の精度を2上げ、また銃を撃つ際に+1か+2の修正をプラスしてくれます。
この差異はあなたが生身の身体を犠牲にしているかどうかです。もし+2が欲しいのであれば、あなたのPCは網膜を改造してスマートリンクにするか、あるいはサイバーアイを挿入しなくてはなりません。
  • 視覚強化
単純に視力を強化したい(といっても鷹レベルに)のであれば、これは見逃せません。
シンプル・イズ・ベスト。視覚機器にこの機能を載せることで、視覚を用いた知覚判定にプラス修正がレーティング分、発生します。
ただし視覚強化はその強化レーティングごとに容量値も上昇していきます。忘れがちなので留意しておきましょう。

【音響機器】   重要性:普通

音響機器は後述する聴覚強化機能と組み合わさることにより、潜入・監視活動においては頼りになる相棒となってくれます。
また、危機的状況で音はさらに重要度を増すのは言うまでもありません。
想像してみてください――向かってくる守衛の足音、透明化した敵の出す装具のこすれる音、待ち受ける者の息遣い……。
単純に耳がよくなるというだけでもそのアドバンテージは相応に大きいのです。
  • イヤホン
これを買い、聴覚強化機能のいずれかを容量値と予算と入手値が許すかぎり突っ込んでください。
隠匿性にすぐれ、外部の音を集音し、注意深くしてくれる機器にデメリットはありません。
  • レーザーマイク
室内にいるジョン・スミシーがなにを話しているのか、それを聞き取るべき場面がいずれやってきます。
その際は、みずからが潜入し聞き耳を立てる、盗聴器をセットする、ドローンを忍び込ませる、コムリンクをハッキングするなど、さまざまな手段があります。
いずれも悪くない方策ではありますが、おそらくGMはそれぞれに判定を要求するでしょう。
対象の近くに窓ガラスがあり、物事をシンプルにしたいなら、100m先からソイカフを啜りつつ、このレーザーマイクを使ってください。

【聴覚強化機能】   重要性:普通

上述した音響機器と組み合わさって真価を発揮する仕事人たちです。
どれもランナーの助けになってくれる機能ですが、容量値と入手値には気をつけてください。
初期作成では足が出ることもしばしばで、特に入手値は入れるだけ放り込んでいると容易に12を超えることがあります。
  • 音声選別フィルター
特定の音声グループを雑音から選別し、録音し、さらにパターンを指定して警報を鳴らすようにセットすることもできる便利なフィルター機能です。
危機管理や監視にはもってこいの品と言うべきでしょう。
  • 聴力強化
あなたが知覚技能を振るとき、それが目ではなく、耳が使える状況なら、これを入れておくべきでした。
聴覚による知覚判定に際してレーティング分だけリミットを増やしてくれるのと同時に、ワイヤレス機能をオンにしていればリミット増加と同じ数だけダイスが加算されます。

【センサー】   重要性:高い

2075年はありとあらゆる場所にセンサーが張り巡らされています。石を投げればセンサーに当たるといっても過言ではありません。
センサーが何かについては辞書をめくってもらうことにして、では、シャドウランにおけるセンサーとはどのようにして機能するものなのかについて解説しましょう。
まずセンサーには2から8のレーティングをもった、二種類のハードウェアが存在します。たとえるなら、弾丸です。
そしてこうしたセンサー(弾丸)に組み込む何種類ものセンサー機能があります。こちらは火薬と考えてもらっていいでしょう。
つまるところ、センサー(弾丸)とはセンサー機能(火薬)を組み込まれることによって初めて機能する代物(弾薬)になります。
前述した二種類のセンサーについても記述しておきましょう。
センサーアレイは八種類ものセンサー機能を備えることができる大容量のセンサーです。
単一センサーはこれとは対極的で、たった一種類しかセンサー機能を組み込むことができませんが、その分安価です。

さて、実はこれだけではまだ不完全です。"弾丸"に"火薬"を組み合わせて"弾薬"ができたなら、あとは"銃"に詰め込まないとなんの役にも立ちませんよね?
基本的に【容量値】がある品物が、その銃になります。容量値があるなら、たとえ眼鏡でもカメラでもドローンでも車でも、そこにどんなセンサーだって組み込むことが可能です。
またそうした組み込み先をいちいち考えるのが面倒なら、手持ち組み込み機器と、壁掛け組み込み機器もあります。
これらは大雑把に表現すると、手持ちサイズのセンサーを入れられる"何か"と、壁掛けサイズのセンサーを入れられる"何か"で、要はあなたの想像した通りの容れ物になるということです。

長くなりましたので、まとめておきましょう。
センサー(センサーアレイor単一センサー)+センサー機能+容量値がある機器=稼働するセンサー
これさえ理解しておけば、あなたもセンサーマスター……とはいかないでしょうが、それなりにセンサーを扱えるはずです。

さて、肝心なセンサー機能ですが、こちらは下記で幾つか有用なものをピックアップしました。
  • サイバーウェア・スキャナー
ミリ波探知システムとしても知られるこのスキャナーは、平たくいうと金属探知機の上位互換です。
詳しくはルールブックP368の【ミリ波探知システム】を読んでもらうとして、これがセンサー機能における王様なのは間違いありません。
  • 嗅覚スキャナー
サイバーウェア・スキャナーがセンサー機能の王とするなら、こちらは女王といっても過言ではないでしょう。
火薬を含めた爆発物から、汗の匂い(相手がどんな感情を抱いているのか探れます)の痕跡まで。
さらには生物兵器や化学兵器に用いる物質の匂いまでもが対象になります。応用範囲? 無限だとルールブックには記述があります(本当ですって)
  • 超音波センサー
コウモリが暗闇のなかであのように飛び回り、昆虫を捕まえられるのはなぜか知っていますか?
それは超音波とその反射によって"地図"を作っているからです。
超音波センサーは肉眼では視えないものを、超音波によって捉えることができます。
《透明化》の呪文などを用いている(完全透明化のほうには打つ手がありません)インビジブル・マンすら、あなたの"超音波の目"には太刀打ちできません。

【セキュリティ機器】   重要性:低い/(一部のみ)高い

あなたがなんらかの事情で施設の警備担当者になったり、あるいは自分の隠れ家をさらに厳重にしたいと考えているのではないかぎり、ここにはさほど重要なものはありません――ひとつを除いては。
  • 拘束具
要するに手錠です。あなたがだれかを誘拐したり、現場で捕虜をとって転がしておいたりするために必要になります。
数種類ありますが、基本的にはプラスティック製で問題ありません。心配であれば金属製を選んでおきましょう。

【突破侵入用工具】   重要性:高い

名前の通り、施設のセキュリティを突破し、内部に侵入するための特別な工具です。
大きく分けて、施錠(鍵)を解除する工具と、壁やフェンスに穴を開けるための工具に分かれています。
2070年代の鍵は主に電子錠(マグロック)が広く使われていますが、昔ながらの機械錠もまだまだ現役です。
いずれも限定的な状況において限定的な効果を発揮するもので、ここではそのなかでも比較的普遍的な品を紹介するに留めます。
  • 錠前破りセットorオートピッカー
機械式の錠をあなたが静かに、音を出さず開けたいと願うのならふたつの条件があります。
一つ目は錠前の技能を有していること。二つ目は錠前破りセット(ロックピッキングセット)か、オートピッカーのいずれかを所有していることです。
SR初心者にはよくある失敗ですが、技能だけでも、道具だけでも、機械錠は開けることができないのです。
錠前破りセットは必需品で、オートピッカーは値段こそ張りますが、最新の技術によって様々な効能を得ることができます。
  • 破砕具/バール
ドアでも壁でもガンガンと音を立ててぶっ壊したい気分になるときもあるでしょう。
障壁ルールに基づいてそれらを破壊する際、これは【筋力】を2倍として扱ってくれます。
  • 小型溶接機
相手が金属となれば、破砕具でどうにもならない状況もあります。
または激しく音を立てたくないが(といっても溶接機だって音は出します)やむを得ず壁やドアに穴を開けたいときもあるでしょう。
そうした状況においてはこの小型溶接機がマストです。

【工業用化学薬品】   重要性:低い

スプレー式接着剤は使い方次第では役に立つかもしれません。
またテルミット燃焼剤と聞けば、こいつをセットすればどんな壁だって開けられそうだとも思うでしょう。
しかしスプレー式接着剤はいまいち扱いがむずかしいのも事実であり、テルミットは16Rもの入手値がネックです。
総じて一般的なランナーにとっては重要性はさほど高くないといえるでしょう。

【サバイバル用品】   重要性:高い

現代日本を生きる我々が「サバイバル用品」と耳にしたときに思い起こされるものはおそらく、「キャンプ用品」や「ミリタリー用品」に近いイメージでしょう。
しかしここで紹介するのは、実のところそうした野外生存を促進するためのもの"だけ"ではありません。
この場における「サバイバル用品」とは、"ランナーとして生き残るために役立つ物品"を全て表しています――つまり、ここは命綱の宝庫ということです。
  • ゲッコーテープグローブ
ハッキングやフェイスの下準備などで正門や裏口からの侵入が望めない場合、壁を登るしか選択肢がないという状況があります。
ゲッコーテープグローブがひとつあるだけで、こうした潜入がずいぶんと楽になるでしょう。
ただし雨にはご注意を。
  • ガスマスク
ガスグレネードやガストラップなど、吸入式の毒物を鎮圧のために運用するセキュリティは決して珍しくありません。勿論対策が必要になります。
また自身の顔全体を隠すこともできますし、一つ持っておいて損はないでしょう。
  • ケムスーツ
危険物に対しての完全な防護装備を利用したいのであれば、HAZMATスーツを着用してください。
しかし証拠物を残さないなどの目的で、また今着用している防具をそのまま運用したいのであれば気軽に脱着できるケムスーツが有用です。

【グラップルガン】   重要性:特殊

ハリウッド産スパイ映画ではそれなりの出演回数を誇り、拳銃型のワイヤー射出装置といえば我々にも見覚えがあるものです。
このゲームではままあることですが、こうしたグラップルガンには軽重合わせて二種類の問題があります。
一つ目は撃つために使用するための技能が、特殊射撃武器であること。
特殊射撃武器はデフォルティングができませんので、必ず1以上は取得しておく必要があるのです。
(これにはいくらかの議論があり、戦闘で用いる際にのみ特殊射撃武器を使うのではないかといった意見もあります)
二つ目はグラップルロープを使用した際に、高所へ登るための登攀テストはどのような影響を受けるのか、具体的な記述がないこと。
実は登攀修正表に記載があるのは登攀具を用いた場合だけであり、グラップルガンを活用した状況は想定されていないのです。
なのでここはケースバイケース、卓やGMごとの判断になりますが、もっとも簡単な処理としてはそのまま登攀具の修正を使ってしまうことでしょう。

【医療品】   重要性:普通

シャドウランにおいて戦闘中に回復する状況はほとんどありません。
しかしそれでも傷を効率的に癒やすギアを持っていることは、自然回復の迂遠さに対して、とても強力なアドバンテージになります。
  • 医療キット
総合的な治療パッケージです。R3まではポケットに入り、R6までは手持ちケースとなります。
どちらもワイヤレスモードにすれば医療キットのR分だけ応急処置+論理力にDP修正を与えてくれます。
またあなたやチームメンバーが応急処置の技能を有していないときには、R*2のDPとリミットをもった全自動治療マシンとして運用することもできます。
気の利いたランナーならR3を懐に収めるか、R6を車のトランクにでも放り込んでおくでしょう。(あるいは負い紐を着けて肩にかけるのもありです。そのときはGMに相談を)
治癒呪文との併用も可能ですが、治癒(ヒール)を唱える前に応急キットによる処置を行うのは忘れないように。時に手続きの順番はたいへん重要です。

【ドクワゴン契約】   重要性:特殊

一見するとこのお値段で、武装し訓練されたNPCユニットの救助(あるいは利用できる戦力)が手に入るのは格安では? と考える人もいるかもしれません。
まず戦闘ターンはだいたい2~4ターンで終了し、1ターンは3秒です。そしてドクワゴンのレスキュー部隊は10分以内に到着します。
GMが特別な配慮を示してくれないかぎり、戦闘中にレスキューユニットを呼んでも間に合うことはないでしょう。
またルールブックにもある通り、ドクワゴンは治外法権下で救助活動を行ってくれません。そしてランナーは犯罪者であり、現地当局の許可など得られるはずもないのです。
といってもそういった治外法権から外れた場所――魑魅魍魎が跋扈するバーレンやストリート――では話は別なのもまた事実ではありますが。
ドクワゴン契約を用いる際には、レスキューユニットをどのように扱うべきかをGMとよく相談することをオススメします。

【スラップパッチ】   重要性:普通

様々な薬剤を内包したスラップパッチは多様な効果を持ち、使いようによっては非常に便利なギアとなります。
ここではスタンダードに用いることができる二種を紹介します。
  • 覚醒パッチ
だれしも精神ダメージとは縁遠くいられませんし、実に厄介なものです。
それをレーティング分取り除いてくれるこの覚醒パッチは、一時凌ぎとはいえ、充分な休養をとれない場合にはとても重宝します。
また魔法使いやテクノマンサーを始めとする"疲労"しやすいスペシャリストたちにも重要です。
  • 蘇生パッチ
あなたの仲間が喉からふいごのような喘鳴を立てていたら、パニックになるより先にこれを貼ってください。
蘇生パッチは最悪の状況に備えるためのもので、仲間や(あるいは自分のために)一枚は懐へ収めておいても損はありません。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます