ヨーロッパ

「覚醒」の年に北海沿岸を「黒潮」(The Black Tide)が襲い、汚染された海水とヘドロによって多くの地域が破壊されました。
その後の社会混乱を収拾できなかったことで欧州連合(EU)は解体。直後にユーロ戦争と呼ばれる二度の戦争を経験しています。
2030年代にヨーロッパで起こった二度の戦争で、それぞれ第一次、第二次ユーロ戦争と呼ばれています。
2031〜33年にロシア、2034〜37年にイスラム系右派諸国によって侵攻され、いずれも大きな被害を出しました。

新欧州経済共同体(NEEC)

EUの後継として発足した西欧諸国と企業の連合体です。ゼーダー・クルップの後押しを受け2063年に発足されました。
前身のEUと同じく警察機構と軍事組織を擁していますが、後者の大部分は傭兵企業に委託されています。

イギリス(UK) United Kingdom

  • 首都:ロンドン
  • 共通語:英語、ゲール語、ウェールズ語
  • 政治体制:立憲君主制

北アイルランドが独立し、イングランド、ウェールズ、スコットランドの三カ国連合となっています。
2071年まで首相職に代わる「護国卿」が独裁的な国家運営を行っていました。
21世紀初頭に複数回に渡って大規模な化学・原発事故が起こり、沿岸部を中心に広範囲が汚染されましたが、
「都市」と「居住可能地」、「汚染地域」「原生地域」を厳しくゾーニングする環境政策が功を奏し、スコットランドやウェールズを中心に林野が再生しました。
同時に、原生地域に隠れ住むドルイドやSINレス、犯罪者が新たな社会問題となっています。

沿革

21世紀初頭の原発事故によりスコットランド北東部が汚染され、以降も断続的に原発事故や原油流出が発生しました。
「覚醒」の年には各地のレイライン(霊脈)上にストーンサークル群が出現。IRAの魔法使いによるテロが激化し、2014年の「ゴールウェイ条約」で北アイルランドの離脱を承認します。
国内の混乱を立て直すため、2025年より「護国卿」による独裁体制が敷かれていましたが、「ペンドラゴン」を名乗る謎の活動家が反対勢力をまとめ上げ、2071年に廃止されました。

ティル・ナ・ノーグ Tir na nog

  • 首都:ダブリン
  • 共通語:英語、ゲール語、スペレシエル
  • 政治体制:神政共和制

人口の半数を占めるエルフを頂点とした階級国家です。民主主義を標榜していますが、ダナン家と呼ばれる一族(のエルフ)が政治の実権を握っています。
企業法廷とのビジネス承認協定に署名しておらず、メガコーポの治外法権が保証されない数少ない国の一つです。
ケルト神話に登場するダヌー神族を祖と見なし、名前や生活の端々に古代ケルトの文化を取り入れています。
社会福祉や環境政策が手厚いものの、非エルフの国民は半ば公然と差別され、ほとんど恩恵を受けられません。

第六世界でも上位に数えられるほどマナの豊富な国で、「覚醒」で急激に再生した森と湿地が国土を覆っています。
島の外縁部では「ヴェール」と呼ばれる巨大なマナ障壁が招かれざる客を拒み、国内においてはローマ時代の街道(Slighe Roads)がなぜか復活。
この道は主要幹線として利用されていますが、旅行者は時に不可思議な現象に見舞われます。

沿革

「覚醒」後に自然環境が急速に回復し、原生林や湿地が拡大。同時にIRAの魔法使いによるテロが活発化します。
2014年の「ゴールウェイ条約」により「アイルランド自由共和国」として再統一を果たしましたが、その後は政治スキャンダルが頻発。
2034年にIRA分派のエルフ「リーアム=オコーナー」が軍事クーデターを起こし実権を握りました。
アイルランド時代よりエルフの出生率が高く、現在も増加傾向にあります。

ダナン家

ダナン家は22の氏族で構成され、特に強い力を持つ8氏族は「ダナン・モール」と呼ばれています。
各氏族1名(モールは2名)の代表者による「家令評議会」を組織し、上院の議席を独占しています。

氏族一覧(赤字はモール)

ドイツ同盟(AGS) Allied German States

  • 首都:ハノーファー
  • 共通語:ドイツ語
  • 政治体制:連邦共和制

ドイツ連邦の崩壊後、独立を果たした16の新興国による同盟国家です。
ビッグ10の筆頭であるゼーダー・クルップを擁し、欧州随一の経済大国として君臨しています。
「黒潮」によって北部ハンブルクではエルベ川が氾濫。汚染された「北のベニス」と揶揄されています。

沿革

2011年の「黒潮」によりエルベ川流域が水没し、さらには第一次ユーロ戦争の主戦場となったことで連邦制が崩壊。
その後は乱立した新興国同士の小競り合いが続いたものの、2045年に同盟国家として再出発を果たしました。
かつての首都ベルリンは「激怒の夜」暴動をきっかけに無政府主義者の支配する街となりましたが、メガコーポの介入により現在は秩序を取り戻しています。

構成国家・都市一覧

展開


フランス共和国 French Republic

  • 首都:パリ
  • 共通語:フランス語、英語
  • 政治体制:共和制

第五共和国は倒れ、軍事政権を経て2037年に第六共和国が誕生しました。が、王家の流れを汲む貴族も同時に台頭。
大統領の周囲を固める貴族会議が国民議会と並ぶ権力を持ち、君主制への移行は時間の問題とされていました。
2070年代に「プロジェクト・オーメン」と呼ばれる陰謀が発覚したことで貴族勢力は大きく衰退し、権力の空白に潜り込んだメガコーポと共和主義者の抗争が激化しています。
メタヒューマンに極めて寛容な一方で、サイバーインプラントはゴロツキや不良貴族の玩具として忌避されています。治療目的以外の魔法もあまり歓迎されません。

沿革

2008年のカテノム原発事故によりロレーヌ地方を喪失。
その後もオーベルニュ山の噴火や「ブルターニュの霧」といった災害が続き、2029年のクラッシュ1.0と軍事クーデターによって第五共和国は終焉を迎えました。
2071年、SOXに収監されていた魔法使いが軍によって救出され、第六共和国成立の際に貴族勢力が占術を悪用して権力を握った「プロジェクト・オーメン」の存在が明るみに出ました。
現在は貴族に代わってアレスアズテクノロジーの影響力が増大し、新共和主義テロリスト「セクション89」がこれに抵抗しています。

ブルターニュの霧

ブルターニュ地方は怪奇現象を伴う霧に包まれ、人類の住めない土地となりました。現在はピクシーと覚醒生物の住処になっています。

自由コルシカ Free Corsica

分裂していた南部県が第六共和国に帰順する中、コルシカ島は最後まで独立を要求。
コルシカマフィアのドン・ボナパルトが終身大統領を務めるタックスヘイブンとなりました。

オランダ連合 United Netherlands

  • 首都:ユーロポート(旧ロッテルダム)
  • 共通語:オランダ語、英語
  • 政治体制:立憲君主制

2043年にオランダと旧ベルギーのフランドル地方が統合し成立した連合国家です。
「黒潮」により失われた沿岸部に代わって旧ロッテルダムに貿易港「ユーロポート」を開港し、ヨーロッパ有数の企業都市として発展してきました。
英蘭のAA企業グループ「レグルス・ジョイント」が他企業をリードし、ゼーダー・クルップの欧州市場支配に対抗しています。

沿革

2011年の「黒潮」により低地が水没。2043年にベルギーのフランドル地方を取り込み、UNLが成立しました。

イタリア連合 Italia Confederation

  • 首都:ローマ
  • 共通語:イタリア語、英語
  • 政治体制:神政連邦制

キリスト教カトリックを旗頭に都市国家連合として再統一されましたが、ほとんど協調していません。
中央政府が存在しないため各都市の自治権が強く、外交方針や共通の政策に関してのみ連合会議を通して決定されます。
ジェノヴァ-ミラノ-トリノ・スプロール(GeMiTo)は2036年の大暴動以来 無政府状態となっており、
社屋を要塞化したメガコーポとこれに対抗するネオアナーキストが各々好き勝手にふるまって一般市民を苦しめています。

沿革

メガコーポとの癒着スキャンダルや2033年のユーロ戦争派兵によって共和国政府が弱体化。
2036年に企業を優遇する法律が制定されたことで「ミラノの5日間」と呼ばれる大暴動が起こり、これを機に各都市が独立しました。
2074年のドラゴン内戦においてグレートドラゴン「アラメイス」が配下のドラゴンとともにGeMiToを急襲し、
兄竜ロフヴィルに討伐されるまでの一年間で、延べ10万人の市民やSINレスが餌として殺戮されました。

バチカン市国 SC.Vaticanae

第六世界においてもローマカトリックは世界最大宗教であり続けています。
2023年、教皇ヨハネ25世が「神の似姿に関する回勅(イマゴ・デイ)」を発表。
メタヒューマンは魂を持つ同じ人間である」「魔法は他の自然物と同じ主の恵みの一つである」と教義を再定義しました。
以来、この「統一見解」を巡ってバチカン内の啓蒙派と保守派による対立が続いています。

スイス連邦 Switzerland

  • 首都:ベルン
  • 共通語:ドイツ語、フランス語
  • 政治体制:連邦制

ジュラ、ティチーノの2州は仏伊に編入され、代わりにリヒテンシュタインが加わりました。NEEC非加盟国です。
フランス語圏(スイス・フランソフォン同盟/CSF)とドイツ語圏(スイス連邦/SEg)がそれぞれ主権を持ち、通貨、中立外交、国民軍のみを共有しています。
メタヒューマンや覚醒者の扱いに関しても対象的で、ドイツ語圏ではエルフ、ドワーフ以外のメタは市民権を認められず、魔法に関しても厳しく規制されています。
国土の3分の1を占めるアルプスは自然保護区(AIZ)に設定され、少数の魔法使いや世捨て人のみが暮らす覚醒種の宝庫です。

沿革

「スイス人の定義」に端を発した民族運動が加熱し、2006年にドイツ語圏とフランス語圏に分かれ内戦に突入。
停戦までの2ヶ月で両者の確執は決定的となり、現在も溝は埋まらないままです。

スカンジナビア連合 Scandinavian Union

  • 首都:ヨーテボリ
  • 共通語:英語、各国言語
  • 政治体制:連邦制

デンマークを含むスカンジナビア諸国がEUをモデルに結成した連合国家です。
国民の多くが北欧神話の神々を信仰しており、ロックコンサートと魔術儀式の融合した「ブロッツ」という祭典が開催されています。
裏社会においては、ノルド戦士の思想を受け継いだバイキング・ギャングがヴォリーとしのぎを削っています。

沿革

クラッシュ1.0による経済混乱やロシアの脅威に対処するため、2031年に連合を結成。
2063年にストックホルム上空でテロリストによるEMP攻撃が発生し、クラッシュ2.0の引き金となりました。

構成国家・都市一覧

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ザール・ロレーヌ・ルクセンブルク特別行政地帯(SOX) Saar-Lorraine-Luxembourg Special Administrative Zone

カテノム原発のメルトダウンにより、周辺地域はマナの枯渇した死の大地となりました。
外縁部には高い壁が築かれ、ゼーダー・クルップアレス等の複数企業によって半ば実験場のように管理されています。

沿革

2008年3月4日、カテノム原発の2号機で炉心融解が発生。その後の爆発により周辺地域に放射性物質が飛散しました。
以降、同地は仏独二カ国によって管理されていましたが、2053年にゼーダー・クルップをはじめとする諸企業に移管されました。

その他の国々

  • スペイン:反メタヒューマン、反覚醒者の色が強いうえに、国王がゴブリン化したことで政治的な混乱が起きています
  • ポルトガル:アルガルヴェ地方をメガコーポのための経済特区と定めています
  • ポーランド第一次ユーロ戦争で真っ先に戦禍に晒され、国土の多くが汚染されました
  • チェコ:カトリック教国ですが、「神の似姿に関する回勅」以前よりメタヒューマンや覚醒者に融和的でした。魔法理論の聖地であるカレル大学を擁しています
  • オーストリア:連邦共和制を維持しています。ハルシュタット近郊にはマナが全く存在しない地域があります。
  • ベルギー(解体):「黒潮」により大きな被害を受け、国家が解体。北部フランドル地方はオランダに、南部ワロン地方はフランスに編入されました
  • ルクセンブルク(解体):カテノム原発事故により国土全域が汚染され、国家機能を喪失しました
  • バルカン諸国(解体):第二次ユーロ戦争によってギリシャおよびブルガリアを除くバルカン諸国は消滅し、無数の勢力が跋扈する紛争地域と化しています

出典

Shadowrun Wiki
Shadowhelix(ドイツ版wiki)

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