汎人類(メタヒューマン)

「覚醒」後、第六世界には従来の人類(ヒューマン)とは異なる様々な汎人類(メタヒューマン)が現れました。

誕生の経緯

メタヒューマンはいくつかの段階を踏んで第六世界に現れました。
まずは2011年のUGE(正体不明の遺伝子発現)でエルフ、ドワーフの新生児が誕生し、2021年のゴブラナイゼーション(ゴブリン化現象)ではヒューマンの約1割がオーク、トロールに変貌。
そして2061年、彗星の年にはSURGE(突発的劣性遺伝子変容)による既存種族の突然変異が起こりました。
※彗星の年以前から存在する亜種についても、ここでは便宜上SURGE種として取り扱います。

メタヒューマンと社会

現在でこそ多くの国で基本的人権を認められていますが、誕生当時は強い差別と迫害に晒されました。
日本や保守的なキリスト教国では未だにその傾向があり、ヒューマニスという世界規模の反メタヒューマン団体も存在します。
それでもエルフなどは比較的社会に受容されており、アイルランド北アメリカに自分たちの国家を築いています。

広義のメタヒューマン

本来はヒューマン以外の種族を指すための言葉ですが、「人類種全般」という意味で使われる場合もあります。
特にルール関連の文脈で「メタヒューマン」という単語が出てきたときは注意しましょう

ヒューマン Homo sapiens sapiens

  • 平均寿命:55〜65年
  • 平均身長/体重:175cm/78kg

丸い耳を持つ従来の人類です。多くの国で人口の大多数を占め、社会インフラの基準となっています。

エルフ Homo sapiens nobilis

  • 平均寿命:200年以上(推定)
  • 平均身長/体重:190cm/80kg

2011年のUGEにより誕生した種族です。現在はヒューマンから産まれるケースは減り、エルフの両親による通常出産が主となっています。
尖った耳、アーモンド型の二重の目、頭髪以外は薄い体毛などが特徴。ヒューマン相当の筋強度を保ちながら細身の体型をしています。
20代半ばで老化が停止する(ストップウォッチ症候群)ため、正確な寿命は不明です。一万年以上の時間を生きる(つまり「覚醒」前から存在する)エルフの存在も噂されています。

SURGE種(亜種)

ドリアード
女性のみの亜種で、全員が植物の導師精霊に従うシャーマンです。毛髪が季節によって木の葉のように色合いを変えます。
都市環境へのアレルギーを持ち、森林地域で生活するものが大半です。
ナイトワン(ダークエルフ)
毛皮のような薄い体毛で覆われた暗色の肌から、ダークエルフとも呼ばれています。
ドイツを中心にヨーロッパに広く分布し、日光にアレルギーを持ちます。

オーク Homo sapiens robustus

  • 平均寿命:35〜45年(先天性の場合)
  • 平均身長/体重:190cm/128kg

2021年のゴブラナイゼーションで誕生した種族です。当時の世界人口の約1割がオークに変貌し、各地でパニックが起こりました。
大きく太長い耳、発達し突き出た下顎の犬歯、強靭な体躯を持ちます。ヒューマンに次いで数の多い種族ですが、その外見から偏見を持たれがちです。
エルフとは対象的に短命で、40代中頃に老化が急速に進行する「メトセラ症候群」を発症します。
オークの母親は平均して4人以上の子供を産みます。通常のヒューマンとも交配可能ですがハーフは存在せず、どちらか一方の親の種族を引き継ぎます。
通常出産の他、ヒューマンとして生まれて思春期にゴブラナイゼーションする場合があります。この場合の寿命はヒューマン相当です。

SURGE種(亜種)

オニ
日本のオークの大部分(75%)を占め、その名の通り赤や青の色鮮やかな肌と短い角を持ちます。
「覚醒」初期から長く被差別対象となっており、多くのオニがヨミ島へ送られましたが、そこで武士道を復活させ、侍として結束するようになりました。
今上天皇による改革後は皇宮警察に登用され、またポップカルチャーの分野でも存在感を示すなど、かつての偏見は薄れつつあります。
オーガ
ヨーロッパに広く分布しており、同地のオークの30%を占めます。通常種より低身長で肥満体型(170cm/100kg)、大きな下顎が特徴です。
多様な食物の消化機能を持つことから、人食いと偏見を受けることもあります。

ドワーフ Homo sapiens pumilionis

  • 平均寿命:100年以上(推定)
  • 平均身長/体重:120cm/54kg

2011年のUGEにより誕生した種族です。現在はヒューマンから産まれるケースは減り、ドワーフの両親による通常出産が主となっています。
尖った耳、背が低くずんぐりした体型で、病気知らずの優れた免疫システムを持っています。また勤労意欲が高い傾向にあり、企業では他のメタヒューマンよりも優遇されがちです。
その低身長からヒューマンサイズを基準とした社会で不便を被ることも多々あります。

SURGE種(亜種)

ノーム
トルコ中央ヨーロッパで稀に見られる亜種で、通常のドワーフよりさらに小柄(80cm/37kg)です。体毛が殆どありません。
体内を流れるマナが極端に少なく、魔力に対して非常に高い抵抗力を持ちます(ただし、覚醒者がいないわけではありません)。
コロボックル
日本のドワーフ亜種です。平均身長110cm、体重40kg前後で無毛。通常種と比べて機敏という特徴を持ちます。
他のメタヒューマンと同様、日本国内で不当な差別に苦しめられてきた経緯があります。

トロール Homo sapiens ingentis

  • 平均寿命:45〜55年
  • 平均身長/体重:250cm/335kg

2021年のゴブラナイゼーションで誕生した種族で、メタヒューマンの中でも特に希少なタイプです。
他のメタヒューマンを遥かに凌ぐ巨体で、一本あるいは一対の巨大な角、尖った耳と発達した犬歯を持ちます。また体の節々が石灰質の表皮で覆われており、手足の比率もヒューマンより長くなっています。
その巨体からヒューマンサイズを基準とした社会で不便を被ることも多々あります。
同種同士の通常出産の他、ヒューマンとして生まれ思春期にゴブラナイゼーションする場合がありますが、この変貌は大抵トラウマによる精神異常を引き起こします。

SURGE種(亜種)

フォモール
アイルランド系ケルトに多く見られる亜種です。
硬い表皮を持たず筋力も通常種より弱いですが、覚醒者の資質が高いことで知られています。
ミノタウロス
雄牛そっくりの頭部、全身に体毛の生えた希少種です。
著名な人物にシアトルのトロールギャング「スパイクス」のリーダー「ベイブ・ザ・オックス(B.T.O)」がいます。


メタヒューマンを侵す病

「覚醒」は人類だけでなく、ウィルスにも変異をもたらしました。
以下は第六世界で新たに発見され、社会問題となっている病気です。

ヒト吸血鬼化ウィルス(HMHVV) Human Meta-Human Vampiric Virus

HMHVV(ヒト吸血鬼化ウィルス)」は魔力のある環境でのみ毒性を示すレトロウイルスで、感染した生物を魔法的、肉体的に作り変えてしまいます。
この覚醒ウィルスは全て人間を一度仮死状態にし――大概の場合は仮死状態にする前に殺してしまいますが――、その上で魔術的にも物理的にも存在を改変します。
その結果、これらのウィルスに感染した場合には魔法に覚醒する者も多数存在します。
HMHVV感染者は脳を含めてウィルスに肉体をいじくり回されます。結果、殆どの感染種はまっとうな社会生活を送ることが困難なレベルでの精神障害や知的障害を追加で発症します。
その上、人肉や血液、他者のエッセンスなどを奪わなければ生存不能になるという異常な特徴までもを獲得してしまいます。
加えて、これらのウィルスは殆どの場合日光に対する激しいアレルギーを患者に与えます。
この結果、殆どすべての場合感染種は二度とまともな社会生活を送ることが出来なくなり、ただの怪物として賞金稼ぎに狩り殺されます。
幸運にも生き延びられたとしても、良ければストリート・ドクの護衛、悪ければ犯罪組織の殺し屋としての人生を送ることとなります。
その一方でウィルス感染者は超常的な身体能力と様々な魔術的能力を得ます。
魅了の力、肉体を一瞬で再生する力、鎧のような皮膚、体を霧に変える力、動物を操る力、強化された筋骨などは有名な特徴でしょう。
しかしながら、これらの力は却って感染者にまともな社会生活を送ることを難しくしています。

HMHVVは現在までに4種類が確認されています。

HMHVV1型

ハーズ-グリーンバウム株と呼ばれる1型ウィルスはHMHVVのもっとも基本的な型であり、この株の変種として1a型・2型・3型の3種が存在します。
1型及び後述する1a型の感染は「感染」のクリッターパワーの影響で起こります。
HNHVV1型は汎人類種の全てに感染します。
例えばヒューマンが1型に感染した場合は「ヴァンパイア」に変異し、ヒトの血液からしか必要な栄養(ゲーム的には【エッセンス】)を得ることができません。
その特徴は概ね伝承上の吸血鬼と合致しており、日光の他、文化的な出自に応じて様々なアレルギーを抱えています。

HMHVV1a型

ブルックナー-ランガー株と呼ばれるこの強力な覚醒ウィルスに感染したものは幸いにも殆どの場合はそのまま永久の眠りに就き、再び苦痛に満ちた第二の人生を歩む者は稀です。
このウィルスに感染して蘇った者としてトロールとヒューマンの2つが知られていますが、しかしながらエルフにこのウィルスの新たな感染種が存在するという噂も存在します。
1a型の感染者の特徴は皮膚が真っ白く変わって骨にへばりつき、骸骨じみた見た目になること、そして体毛を失うこと、そして全てが強力な魔法使いになるというところにあります。
最も有名なこの株の感染種は「ノスフェラトゥ」です。

HMHVV2型

ジャルカ-クリシーオネ型と呼ばれるこのウィルス株に感染した者は、1型以上に激烈な肉体の変異に晒されます。
患者を獣じみた怪物へと変貌させるこの変異は脳にも不可逆的な損傷を与えることが多く、その結果2型の感染者は多くの場合知性のない怪物へと成り果ててしまいます。
ヒューマンが感染した「ルー・ガルー」(狼男)、オークの「グレンデル」(地下に潜む四足歩行の怪物)、エルフの「ハーベスター」(生きたカカシじみた怪物)などが代表的です。
2型ウィルスは血液感染し、変異後に保菌を続けている一部の感染者に噛みつかれたり、あるいは感染者の血液などが誤って傷口などから入り込んだことで感染が起こります。

HMHVV3型(グール)

3型は現在最も感染例の多い株で、感染者は全て「グール」となり、ヒトの生肉からしか栄養を得ることが出来ません。
体毛の失われた死体のような肌に鋭い牙と爪を持ち、視力を失う代わりに嗅覚と聴覚、魔力的な知覚能力が発達します。
変異の課程で発狂してしまうものも少なくありませんが、整形手術やインプラントによって人間に擬態し社会生活を送っている例も少なからず存在します。
3型ウィルスは血液感染し、変異後に保菌を続けている一部の感染者に噛みつかれたり、あるいは感染者の血液などが誤って傷口などから入り込んだことで感染が起こります。

ウィルス性有毒アレルギー症候群(VITAS) Virally-Induced Toxic Allergy Syndrome

VITASは空気感染型のウィルスで、感染後12時間以内に重篤なアナフィラキシーショックを発症します。生存率はヒューマンで200分の1以下です。
現代の黒死病とも言える病で、2010年の初流行時には世界人口の25%が犠牲となり、「覚醒」とともにその後の世界を大きく変えました。
抗ウィルス剤や抗ヒスタミン剤である程度症状を抑えることが出来ますが、魔法による治療が最も効果的です。

認知断片化症候群(CFD) Cognitive Fragmentation Disorder

マトリックスが感染源となる奇病です。ネットワークからダウンロードされたAI人格が本来の人格を上書きしてしまいます。
身体強化用ナノマシン「ナナイト」がワイヤレス通信時にウィルスに感染し、自己増殖しながら新たな人格を生成。
宿主は記憶の欠落やブラックアウトを起こし、その間AIに体を乗っ取られてしまいます。人格の生成が上手くいかず知性が崩壊するケースもままあります。
2075年の時点では有効な治療法は見つかっていません。

シャドウランナーコミュニティなどの一部の界隈ではその存在がある程度認知されており、
ジャックポイント」の管理者ファストジャックが感染を機に引退を表明したことで、にわかに注目を集めています。
感染者(のAI人格)は自らを「モナド」を称していますが、「ヘッドケース」という蔑称がよく使われます。

出典

Shadowrun Wiki
Shadowhelix(ドイツ版wiki)

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